武具と甲冑 一覧へ
鯉の瀧登り図蒔絵鞍
こいのたきのぼりずまきえぐら
江戸時代中期 5代藩主 立花貞俶所用
鞍の表は黒漆地に鯉の瀧登り図を金銀蒔絵であらわす。黄河中流の急流龍門の下に集まる鯉のうち、これを登った鯉は龍になると伝える中国の故事、いわゆる「登龍門」をあらわしており、武家において大変好まれた画題である。細長く曲がった鞍の面上に、急流を登る鯉がダイナミックに配置された巧みな構図である。御道具帳によれば、狩野探幽の下絵であるとされるが、これはこの鞍のために特に探幽に下絵を依頼したということではなく、探幽の粉本を利用して制作したという意味であろう。