初代藩主・立花宗茂が元和6年(1620)に柳川に再封されて以来、明治維新まで代々柳川11万石を治めてきた立花家。大名であった江戸時代の立花家は家格に相応しい刀剣を多数所持していましたが、現在、立花家史料館が所蔵する立花家伝来の刀剣は20口にも及びません。
しかし、これらの刀剣は、国宝の短刀や重要文化財の剣をはじめ、立花家にとって最も重要な刀剣ばかりであり、刀剣が今に至るまで残されてきた経緯には、そのまま立花家の歴史が映し出されているのです。
本展示では、当館に現存する刀剣・刀装具を、明和4年(1767)7代柳川藩主・鑑通の代に作成された「御腰物由来覚」と照らし合わせ、記録に残されている伝来を詳らかにご紹介します。また、同時に、難解と思われがちな刀剣の鑑賞法をわかりやすく解説します。
初代柳川藩主・立花宗茂が、戸次道雪の娘・誾千代と結婚するために立花山城へ入った際に、実父・高橋紹運から譲られた「剣 銘 長光」【重要文化財】をはじめ、代々柳川藩主立花家の重宝として伝えられてきた数々の名刀を、その背後に隠された歴史と共にお楽しみください。
また、常設展示では、柳川藩主立花家に伝来した5千点もの大名道具の中から、初代柳川藩主・立花宗茂所用の甲冑をはじめとする歴代藩主の甲冑ほか、姫様たちが愛好したかわいらしい人形や雛調度など、立花家の歴史が感じられる優品をご紹介します。
さらに今年度から、立花家の歴史や伝来の大名道具について、より深く理解していただくために、「スポット展示」「シリーズ展示」というコーナーを設け、立花家史料館の所蔵品を数点とりあげてご紹介することにいたしました。点数は少ないですが、見どころの多い名品を展示しますので、是非じっくりとご鑑賞ください。
「立花家伝来の名品絵画-江戸時代に描かれた中国-」
スポット展示「大名家の美と格式」では、江戸時代を通じて柳川藩11万石を治めた立花家にて、代々受け継がれてきた5千件もの美術工芸品のなかから、学芸員がオススメする名品を紹介します。
今回は大名家のくらしを彩っていた、立花家の絵画コレクションに注目。展示するのは、当代一流の絵師たちが中国のイメージを描いた作品6件です。題材は、有名な景勝の地である「西湖」や「赤壁」。諸葛孔明を三度訪れる劉備や、主家の子どもを胸に抱いて逃れる趙雲という「三国志」の一場面。遊びを楽しむ風流人や談笑する仙人たちの姿など、さまざまです。また、伝統を守ってきた狩野派と新興の南画の画風をくらべたり、時代による狩野派の画風の変遷をたどったりと、鑑賞の楽しみ方もさまざまです。
「巻の1 近代における道雪の顕彰」
今年2013年は、近世立花家初代・戸次鑑連(道雪)が生まれた永正10年3月17日(西暦では1513年5月2日)【柳川藩立花家文書85「御内實御系譜下調」による】から数えて500年となります。これを記念して、当館が所蔵する古文書群から、戸次鑑連(道雪)の姿をとらえた資料をシリーズ展示にてご紹介します。
巻の1は、近代にまで伝えられた道雪のイメージを示す記録類を展示します。
立花家の刀を飾った定紋・祇園守紋 | ||
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名称 | 時代 | 所用者 |
金梨地祇園守紋散蒔絵鞘 | 江戸時代後期 | |
祇園守紋笄と目貫 | 江戸時代初期 | |
唐草祇園守紋縁頭 | 江戸時代 | |
帆の丸祇園守紋花菱紋縁頭 | 江戸時代後期 | |
鉄の鐔をみる -立花家伝来の鐔- | ||
名称 | 時代 | 所用者 |
無文鐔 | 江戸時代 | |
四方透(扇面)鐔 | 江戸時代 | |
左右海鼠透鐔 | 室町時代後期 | |
二ツ巴透鐔 | 江戸時代 | |
角打鐔 | 江戸時代後期 | |
扇面雁透鐔 | 江戸時代初期 | |
刀をみる・伝来を知る -「御腰物由来覚」から- | ||
名称 | 時代 | 所用者 |
重要文化財 剣 銘 長光 |
鎌倉時代 | 初代柳川藩主・立花宗茂 |
刀 無銘 伝兼光 | 南北朝時代 | 立花家初代・戸次道雪〜 初代柳川藩主・立花宗茂 |
刀袋残欠 戸次道雪所用 刀 銘兼光 | 江戸時代 | 立花家初代・ 戸次道雪の可能性あり |
脇指 銘 貞宗 | 室町時代 | 初代柳川藩主・立花宗茂 |
短刀 銘 安吉 | 南北朝時代 | 初代柳川藩主・立花宗茂 〜2代藩主・忠茂 〜3代藩主・鑑虎 |
鑓 銘 播州住政国作 | 室町時代 | 初代柳川藩主・立花宗茂〜 柳川藩の参勤交代の際に持参される |
鑓 銘 濃州関住兼貞作 | 室町時代 | 初代柳川藩主・立花宗茂〜 柳川藩の参勤交代の際に持参される |
刀 無銘 伝郷義弘 | 南北朝時代 | 7代柳川藩主・立花鑑通 |
脇指 銘 柳川住直安 | 江戸時代後期 | |
鑓 銘 柳川住源信国吉英作 | 江戸時代後期 | |
薙刀 銘 山城大掾藤原国次 | 江戸時代 |
名称 | 時代 | 作者 |
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琴棋書画図 | 中国・明時代 | - |
西湖図 | 江戸時代初期 | 狩野常信 (木挽町狩野家2代常信) |
草廬三顧図 | 江戸時代後期 〜明治時代 |
狩野応信 (御徒町狩野家8代応信) |
趙雲之図 | 江戸時代後期 | 狩野勝川院雅信 (木挽町狩野家10代) |
前赤壁図 | 江戸時代中期 〜後期 |
谷 文晁 |
仙人図 | 江戸時代後期 | 洞益成信 (駿河台狩野家6代成信) |
名称 | 時代 |
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立花道雪居士影像記 | 元禄10年 (1697) |
道雪公、立斎公、鑑賢公御事蹟 | 大正5年 (1916) |
道雪公江宗麟公ヨリ御感状其他御書寫 | 明治18年 (1885) |
道雪公碑銘 | 近代 |