誾千代(光照院)は、永禄12(1569)年、豊後大友家の重臣であった戸次鑑連(道雪)と問註所鑑豊の娘、仁志姫の娘として筑後国山本郡草野問本城(現、福岡県久留米市草野)に生まれました。その2年後の元亀2(1571)年、鑑連は大友宗麟によって筑前の重要拠点であった立花山西城の城督を任じられ、当時3歳の誾千代は母とともに立花山城へ移ります。
鑑連は、戸次家の家督を甥で嗣子とした鎮連に譲り、立花山城で新たな家臣団を組織するのですが、大友宗麟・義統は男子のいない道雪(天正2年に入道して道雪と称す)に対し、鎮連の子供から養子を迎えて立花城家督を譲るよう勧めます。鑑連はこれを聞き入れず、娘誾千代に城督・城領・諸道具の一切を譲りました。ここにわずか7歳の女城督が誕生することになったのです。
誾千代13歳の時、戸次家の養子となった高橋統虎(後に柳川藩初代藩主となる立花宗茂)を婿に迎え、19歳の時、大友家家臣から一国の大名となった立花宗茂とともに筑後柳川へ居城を移すことになります。しかし、その後宮永の屋敷に移り、夫宗茂とは別居を余儀なくされるのです。
関ヶ原合戦の後、西軍についた立花氏は改易され、加藤清正の庇護のもとにあった誾千代は、慶長7(1602)年玉名郡腹赤村で病没したと言われます。享年35。法名は光照院殿泉誉良清大禅定尼。
激動の戦国時代を生きた女城督として数々の伝説に彩られた誾千代は、確実な史実を伝える資料に乏しく、謎の多い生涯と言わざるをえません。この展覧会は、誾千代姫伝説の謎を、誾千代が生きた時代と取り巻く人々のわずかな手掛かりを通して考えようとするものです。伝説と史実、その絡み合いの中に新たな誾千代姫のイメージを膨らませていただければ幸いです。
開催期間 | 平成25年2月2日(土)〜4月14日(日) |
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開館時間 | 9:00〜18:00 |
入館料 | 御花入園料 (一般500円/高校生300円/小中生200円) *柳川市内の中高生は生徒手帳の提示で特別展会場に限り無料 *教員または育成会引率による柳川市内の児童・生徒及びその引率代表者は特別展会場に限り無料(要事前申し込み) |
主な展示資料 | ●[国宝] 短刀 銘 吉光(鎌倉時代) ●脇指 雷切丸(鎌倉〜室町時代)※展示期間は2月2日〜3月3日まで ●金箔押桃形兜(桃山時代) ●[重要文化財]大友義統・宗麟連署書状(天正3年〈1575〉) ●[重要文化財]戸次道雪譲状写(天正3年〈1575〉) ●道雪・誾千代・宗茂肖像(江戸時代後期) |
ギャラリー トーク |
第1回:2月2日(土)/第2回:3月9日(土)/第3回:4月6日(土) 各日:14:00〜15:00 講師:立花家史料館 史料室長 植野かおり |
同時開催 | ワカマツカオリ・イラスト展〜挿し絵でたどる『まりしてん誾千代姫』の世界〜 場所:柳川藩主立花邸御花・西洋館 料金:御花入園料に含まれます |
第1部 プロローグ -戸次道雪と立花山城- | ||
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名称 | 時代 | 所蔵 |
金箔押桃形兜 | 江戸時代初期 17世紀 | 立花家史料館 |
戸次道雪肖像 | 寛永元年(1624) | 福厳寺(柳川市) |
脇指 無銘(雷切丸) [〜3月3日] |
鎌倉-室町時代 12-16世紀 |
立花家史料館 |
薙刀 銘 天文廿二年三月十三日豊州高田住平家盛作 [3月4日〜] |
天文22年(1533) | 立花家史料館 |
重要文化財 大友義鎮書状 |
弘治3年(1557) 12月13日 |
立花家史料館 |
複製 大友家加判衆連署状(五条文書) |
室町時代 16世紀 | 個人蔵 |
重要文化財 足利義輝御内書 |
永禄6年(1563) 正月27日 |
立花家史料館 |
国宝 短刀 銘 吉光 |
鎌倉時代 13世紀 | 立花家史料館 |
「血染めの鉄扇」写し | 江戸時代初期 17世紀 | 立花家史料館 |
「源頼朝ゆかりの軍旗」写し | 江戸時代初期 17世紀 | 立花家史料館 |
重要文化財 大友文書 |
鎌倉-桃山時代 12-16世紀 |
立花家史料館 |
御旧記入目記 | 延宝7年(1679) | 立花家史料館 |
第2部 女城主の誕生 -戸次道雪の娘として- | ||
名称 | 時代 | 所蔵 |
重要文化財 大友義統・宗麟連署書状 |
天正3年(1575) 5月10日 |
立花家史料館 |
重要文化財 大友義統・宗麟連署書状 |
天正3年(1575) 6月18日 |
立花家史料館 |
重要文化財 戸次道雪譲状写 |
天正3年(1575) 5月28日 |
立花家史料館 |
重要文化財 戸次道雪書状写 |
天正8年(1580) 2月16日 |
立花家史料館 |
高橋紹運肖像 | 昭和60年(1985) | 天叟寺(柳川市) |
高橋紹運覚写 | 天正9年(1581) 10月25日 |
福岡県 (伝習館文庫) |
重要文化財 豊前覚書 |
元和元年(1615) | 福岡県 (伝習館文庫) |
御内実御系譜下調 | 江戸時代後期 | 立花家史料館 |
複製 「御旗・御名字の御祝」(豊前覚書より) |
天正10年(1582) 11月18日 |
福岡県 (伝習館文庫) |
重要文化財 立斎様御自筆御書之写 |
天正10年(1582) | 立花家史料館 |
第3部 宗茂と誾千代 -豊臣大名の正室として- | ||
名称 | 時代 | 所蔵 |
立花宗茂肖像 | 承応3年(1654) | 立花家史料館 |
伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足 立花宗茂所用 |
桃山時代 16世紀 | 立花家史料館 |
金地三日月図軍扇 立花宗茂所用 |
桃山-江戸時代 16-17世紀 |
立花家史料館 |
火縄銃 銘 墨縄 立花宗茂所用 |
桃山時代 16世紀 | 立花家史料館 |
陣中守本尊 | 桃山-江戸時代 16-17世紀 |
立花家史料館 |
杏葉紋蒔絵櫛箱と櫛 立花宗茂所用 |
桃山-江戸時代 16-17世紀 |
立花家史料館 |
黒漆塗杏葉紋蒔絵鞭 | 江戸時代初期 16世紀 | 立花家史料館 |
厨子入銅造観音立像 立花宗茂所用 |
桃山時代 16世紀 | 立花家史料館 |
祇園守蒔絵脇当 立花宗茂所用 |
桃山時代 16世紀 | 立花家史料館 |
一節切 立花宗茂所用 |
桃山-江戸時代 16-17世紀 |
立花家史料館 |
立花公室畧譜 | 宝暦年間(1751-63) | 福岡県 (伝習館文庫) |
重要文化財 豊臣秀吉朱印状 |
天正15年(1587) 6月25日 |
立花家史料館 |
複製 立斎様御自筆御書之写 |
江戸時代 | 立花家史料館 |
複製 加藤美作宛加藤清正書状(今村家文書) |
江戸時代 17世紀 | 九州歴史資料館 |
呂宋壺 | 明時代 | 立花家史料館 |
柳川城図 中野春翠筆 | 大正3年(1914) | 立花家史料館 |
茶杓 伝 千利休作 | 桃山時代 16世紀 | 立花家史料館 |
第4部 エピローグ -受け継がれる伝説- | ||
名称 | 時代 | 所蔵 |
遷宮行列図巻 | 文政6年(1823) | 立花家史料館 |
小野鎮幸宛加藤清正書状 | 江戸時代初期 17世紀 | 福岡県 (伝習館文庫) |
重要文化財 立花宗茂寄進状写 |
江戸時代 | 立花家史料館 |
瑞玉霊社記 | 文政7年(1824) 2月19日 |
立花家史料館 |
道雪・宗茂・誾千代像 | 江戸時代後期-明治時代 19世紀 |
三柱神社 (柳川市) |
宮永様一代記(渡辺家文書) | 明治時代 19世紀 | 柳川古文書館 |
柳川藩私誌(渡辺家文書) | 明治時代 19世紀 | 柳川古文書館 |
直木賞作家・山本兼一氏が昨冬に上梓した『まりしてん誾千代姫』(PHP研究所)。主人公の誾千代姫は、後に初代柳川藩主となった戦国武将・立花宗茂の正室であり、今も柳川の人々に慕われています。
この時代小説は、人気イラストレーター・ワカマツカオリ氏の秀麗な挿し絵に彩られて連載されていました。ワカマツ氏の描く凛とした誾千代姫の絵姿は、単行本では味わえない、連載時の楽しみの1つでした。
このたび、柳川藩主立花邸御花「西洋館」にて、『まりしてん誾千代姫』の全挿し絵44点を一堂にあつめ、小説中の言葉を添えたイラスト展を開催します。特別描き下ろしをふくめた49点のイラストをたどりながら、様々な表情をみせる誾千代姫とともに、ワカマツ氏が描き出す『まりしてん誾千代姫』の世界をご堪能ください。
お好きな作品を独り占め! 展示作品がご購入いただけます。
本展終了後、展示作品(額入、現品)を販売いたします。開催期間 | 平成25年2月2日(土)〜4月14日(日) |
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会場 | 柳川藩主立花邸 御花「西洋館」 |
料金 | 柳川藩主立花邸 御花入園料に含まれます。 |
協力 | 株式会社PHP研究所、藍紺プラス株式会社 |