兜の脇立をはずせますか? 立花宗茂の月輪脇立
2023/1/18当世具足と組み合わされる兜、その両脇につく飾りを「脇立」といいます。
わたしが甲冑を展示する際に、最も神経をとがらせるのが、「脇立」をはずす時です。
脇立って、はずせるの⁉️
実際にはずす動作を見るのが一番わかりやすいので、オンラインツアー【終了しました】でご覧いただきたい。これこそ通常の展示室では不可能な、オンラインツアーの醍醐味!滅多にない機会です。
ほんのチラ見せですが、冒頭で脇立の解説をしています。
◆販売中◆ 解説本『立花宗茂の甲冑大解剖』(伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足 )16頁 300円/解説本『立花宗茂の甲冑大解剖Ⅱ』(鉄皺革包月輪文最上胴具足)24頁 500円(どちらも税込・送料別)展示室では鑑賞しずらい裏面や細部の拡大写真と詳細な解説。◎ B6判オールカラー ※まとめての購入は送料がオトクです
大輪貫鳥毛後立兜を刺繍した「宗茂兜ミニタオルハンカチ」もアリマス
脇立は、兜の両脇に出ている「角元」に差し込んで付けます。
初代柳川藩主・立花宗茂の兜の脇立は、金属製だと誤解されがちですが、実は薄くて軽い木製です。黒漆が塗られ、鏡面のように仕上げられています。上部中央の蝶番により、半分に畳んで収納できます。
おわかりいただけたでしょうか?
脇立の下部に、角元が少し覗いています
脇立を兜に装着する際は、真上から差し込みます。
角元がみえると見栄えが悪いので、無理のない範囲で押し込まないといけません。
ただし、力まかせに押し込むと、抜けなくなる可能性があります。
繊細な文化財を保護しながらの展示作業では、押し込むより引き抜く方が、コツが必要で難しいのです。
とくに脇立は、前立や後立、頭立とくらべると、絶妙な力加減が要求されます。
当世具足より以前の甲冑には脇立が付くことがないので、脇立を外した経験がある学芸員さんも、意外と少ないのではないでしょうか。
それだけ、兜から脇立を外す瞬間を見る機会は希少なのです。
脇立の外し方を知ると、他の武将の脇立を鑑賞するのがサラに楽しくなります。
例えば、福岡市博物館が所蔵する「銀大中刳大盔旗脇立頭形兜」も、脇立の基本的な造りは同じなので、素材や構造の推測はできます。
だからこぞ、大きな脇立を支える角元の形や、外した脇立を収納する箱についての疑問がサラに生じ、ものすごく楽しいです。いつか正解が知りたい……
この楽しみを分かち合える方々が増えると大変嬉しいので、個人的にも今回のオンライツアーを強くオススメいたします。
【ココまで知ればサラに面白い】
普段の解説ではたどりつけない、ココまで知ればサラに面白くなるのにと学芸員が思うところまで、フカボリして熱弁します。
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オンラインツアー「立花宗茂の甲冑大解剖~すべて魅せます!表も裏も細部まで~」 (2023.1.27開催) は、オンラインだからこそできる内容を目指した当館初企画です。第1回目は「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」。展示中の甲冑を脱がせながら、裏側をのぞいたり細部に肉迫したりと、植野館長が直接カメラで撮影をしながら解説します。付録の「立花宗茂の甲冑大解剖解説冊子」(B6版16頁オールカラー)も充実しているので、例えば徳川家康とか、他の武将の当世具足を鑑賞するときにも必ずお役に立つことでしょう。
オンラインツアー「立花宗茂の甲冑大解剖Ⅱ~すべて魅せます!表も裏も細部まで~」(2023.6.2開催)では、「鉄皺革包月輪文最上胴具足」の内側や細部を植野館長が直接カメラで撮影しながら解説。付録ブックレット(B6版フルカラー 24頁)も大充実。他の武将の当世具足を鑑賞するときにも必携の書となるはずです。