「立花宗茂」を演じた幼稚園児たち-祝卒園-
2016/3/182月20日、柳川市の水の郷ホールで
学校法人大屋学園 柳川みのり幼稚園の
第42回発表会が開かれました。
園児たちの、この1年の成長を発表する会です。
発表会のプログラムの最後には
年長・年中さんたちによる劇「立花宗茂」が上演されました。
園児たちが劇の準備のために、立花家史料館を訪れたのは
去年の10月のこと。
表紙に「立花宗茂」と書かれたファイルを手に
熱心に説明を聞き
鋭い質問を投げかける姿に
これはただの幼稚園児ではないと感じた我らスタッフ。
その後、練習を見学しに何度か園を訪れ
その度に、やはりただものではない感を新たにし
迎えた本番の日。
立花家史料館は園の許可を得て、動画撮影に赴きました。
そのとき撮影した劇のすべては
YouTube立花家史料館公式チャンネルでご覧いただけます。
セリフの字幕入りです。
幼稚園児による本格時代劇を是非お楽しみください。
さてここからは、当日の模様を
なるべくたくさんの写真を使ってご紹介したいと思います。
(写真の大半は柳川フィルムコミッション撮影)
開幕に先立ち当館館長より協賛のご挨拶をいたしました。
物語は関ヶ原の戦いの局地戦のひとつ、大津城の戦いから始まります。
西軍に加わった立花宗茂はこのとき、大津城の京極高次を攻めていました。
まずはオープニング。
整列して控える金甲隊。
音楽に合わせて凛々しく踊る金甲隊。
速いカウントで激しく戦う金甲隊。
中央にいる月輪の兜を被った勇ましい武者こそ
我らが立花宗茂です。
武者たちは片手側転で退場。
そこへ誾千代と女鉄砲隊が登場し
側転で戦います。
女鉄砲隊は、ブリッジからの
くるん!
アクロバティック鉄砲隊。
負けじと側転で激しく戦う金甲隊。
武将たちが気持ちをひとつにしたところで
いよいよ本編の始まり。
宗茂に関ヶ原での西軍の敗北が伝えられます。
退却を指示する宗茂の手には、金地三日月図軍扇が。
その姿を舞台袖から見守る島津義弘。
そっと出番を待つ背中には丸十。
退却の際、自分たちの安全よりも領民のことを考え
瀬田の唐橋を焼かなかった宗茂。
このことを徳川家康も褒め称えましたと説明する
司会役の誾千代と女鉄砲隊。
大坂から船に乗り込み柳川を目指していたところ
薩摩へ帰る途中の島津軍(西軍)に出会いました。
今こそ父の敵を討つ好機であるという十時連貞に対して
いまは、同じ西軍として戦った味方同士助け合うときであると
たしなめる宗茂。
宗茂は島津義弘に、薩摩まで守ることを申し出ます。
宗茂も島津義弘も、無事に国許へ帰ることができました。
しかしその頃、徳川家康から鍋島直茂へ
ある命令が下りていたことを説明する司会役の女鉄砲隊。
鍋島直茂は、倅が石田三成に味方したのは
若さ故の過ちであり、厳しく言い聞かせていると弁解しますが
家康は赦しません。
すぐに帰って宗茂の首級を挙げてこいと命令します。
園児たちは一人で何役もこなすため
リバーシブル仕様の陣羽織を着用しています。
島津義弘は、ひっくり返すと由布惟信になります。
さて、柳川城にいる宗茂のもとへ、鍋島の侵攻が伝えられました。
さらに黒田如水、加藤清正の進軍も伝えられ
宗茂は家臣達に出陣の用意を命令。
厳しい戦いに備え、自らも戦場に出ることを決意します。
しかし由布惟信は
赦しを乞うために使者を立てているのに
殿が出陣すれば家康へ反逆ありと思われる
と述べ、これを押しとどめます。
どうする宗茂。
そこへ現れたのは、妻の誾千代。
彼女も宗茂が城に留まることを願います。
家臣達の忠義に男泣きする宗茂。
こうしていよいよ八院合戦が始まりました。
勇猛果敢に戦う小野鎮幸。
女鉄砲隊を率いる誾千代。
そんな中、立花三太夫は討ち取られてしまいました。
三太夫の戦死を聞いた小野鎮幸は
敵の本陣へ突撃を開始。
しかし敵の矢に倒れ、薦野成家に助けられます。
立花鎮実・親雄親子は、退却する自軍を助けようと
殿(しんがり)を引き受けます。
激しく戦いますが、2人とも敵に斬られ
遂に倒れてしまいます。
小野鎮幸は無事に城まで撤退。
その頃、黒田官兵衛と加藤清正の間では
和睦の話し合いがなされていました。
ということを説明する司会の女鉄砲隊。
実は本番当日、黒田官兵衛役の子はインフルエンザで
お休みしなければならなくなってしまいました。
代役を務めた官兵衛ちゃんは、とっても上手に演じましたが
念のためにと、補佐もついていました。
ですので赤合子の兜の子、銀色の前立の兜の子、二人ともが官兵衛です。
話し合いの結果
官兵衛が家康に話をし、清正が宗茂と家来を引き受けることとなり
早速、柳川城へ使者を遣わすことにしました。
一方、柳川城。
負傷した小野鎮幸を見舞う宗茂。
手前にいるのは医者です。
清正の申し出を受けることにしたことを鎮幸に伝えます。
城を枕に討ち死にするという鎮幸を
私利私欲のために領民たちを巻き込んではならぬと
説得する宗茂。
やがて迎えた開城の日。
城の周りには多くの民が集まっていました。
庄屋の樺島式部と檀大炊介は領民を代表して
共に戦うことを申し出ますが
宗茂はその志だけを受け取って、柳川を去っていきます。
宗茂は流浪の生活の後
20年後に再び柳川に帰ることができました。
ということを説明する司会の女鉄砲隊たち。
20年振りに柳川へ帰ってきた宗茂。
領民たちは温かく迎えてくれ
柳川を子々孫々まで豊かな土地にしていこうと決意します。
柳川の人々は難事業を成し遂げ
柳川の地を豊かな土地にしていきました。
最後はみんなで礼をして劇は終了。
ここから先は、園児には(お客さんにも)サプライズの出来事です。
無事に終えて、園児たちが舞台袖でほっとしているところに、突如響き渡る
「敵襲!」の声。
客席後方から現れたのは
熊本城おもてなし武将隊の黒田官兵衛さん、そして島津義弘さん。
さらに舞台上には加藤清正さんと
我が立花家史料館スペシャルサポーターでもある立花宗茂さんまでもが。
突然の武将隊の登場に驚く園児たち(以下みのりっこ)。
みのりっこは、熊本城おもてなし武将隊のことをよく知っており
普段からYouTubeを見ながら演舞の練習をしていたそうです。
いきなり目の前に現れた本物に大変驚いたようではありましたが
そこはただものではないみのりっこ。
騒ぐでもなく、きちんと正座をしてじっと見つめていました。
舞台上では武将隊による演舞が行われています。
柳川での演舞ということもあって
清正さんがいるにも関わらず、宗茂さんセンターでの為虎添翼。
ありがとうございます。
続いては名乗り。
まずは官兵衛さんから。
次に島津さん。
そして清正さん。
最後に我らが宗茂さん。
熱き想いをこの胸に。
その姿を見つめるみのりっこ(着替えた金甲隊)。
朝早く会場入りして、お芝居をずっと鑑賞していた武将さん達が
感想を発表するのに際し
自分たちの役を演じたみのりっこを舞台に呼びました。
真っ先に飛び出してくる宗茂くん。
遂に揃いました。
ダブル軍師。
ダブル鬼島津。
ダブルせいしょこさん。
ダブル西国無双。
官兵衛さんは甲冑(なんと牛乳パック製)の正確さを褒め称える。
島津さんは武士の言葉遣いや立ち居振る舞いができていたことを褒め称える。
清正さんは、清正くんがとてもお気に入り。
宗茂さんは、我々の心の内を代弁してくれたというような出来映えであったと褒め称える。
このあとは最後のお楽しみ。
みのりっこは熊本城おもてなし武将隊の演舞「虎熊一刀」を踊れると聞いた宗茂さんが
みんなで一緒に踊ろうと提案。
「我らと共に踊ってくれるか」
何も言わずとも、後ろ向きに座り準備の体勢に入るみのりっこに
にやにやの止まらない宗茂さん。
いつも練習しているだけあって、みんな上手に踊ります。
ダブル宗茂のシンクロ率の高さ。
みんなのお気に入りの部分。
楽しく踊った後は、記念撮影タイム。
右に左に中央に、まんべんなく顔を向けて。
最後は会場全体での勝ち鬨です。
こうして第42回発表会は幕を閉じました。
この日武将さんたちは、みのりっこに気付かれないようにと
朝早くに極秘で会場入り。
控え室で発表会の演目をずっと見ていました。
控え室にあったみのりっこの絵に興味津々の武将さんたち。
わくわくしながら待っていた様子がうかがえます。
出番が近付くと、それぞれの位置にスタンバイ。
宗茂さんは舞台上手の幕の陰に隠れます。
清正さんは、舞台裏の通路に。
楽しそうな清正さんですが、この後悲劇が。
舞台下手へ退場した一部の園児が、上手からの登場のために
舞台裏通路を通ったのです。
このとき、ひとりの子がはっきりと「くまもとじょうおもてなしぶしょうたい」と発音していました。
清正さん苦笑い。
我々の段取り確認不足でした。すみません。
なお下手にいた宗茂さんのことは、スタッフが身を挺して隠しました。
さて、見事なお芝居を成し遂げた年長組さんたちは
昨日、無事に卒園式を終えたそうです。
おめでとうございます。
卒園を前にした3月11日、記念の川下りがあり
その帰りに再び立花家史料館を訪問してくれました。
宗茂の甲冑の正式名称(鉄皺革包月輪文最上胴具足)を
すらすらと言える様子に
周囲にいた観光客のみなさんが、思わず拍手する場面も。
甲冑を手作りして着たことがあるからでしょう
甲冑に対する興味の度合いがとても高いみのりっこ。
次回の劇は戸次道雪と高橋紹運が出てくるとのことで
通りすがりに道雪の肖像画を見つけ
思わず立ち止まるみのりっこ。
「どこにある絵か知ってる?」
正解です。
小学校に入ったら、郷土の歴史の勉強の中で
きっと「立花宗茂」が出てきます。
そのときにはまた立花家史料館を訪ねてくれることを願います。
柳川市内の小中学生は入館無料ですので。
ごそつえん おめでとうございます。
たちばなむねしげの げき
とっても じょうずでした。
しょうがくせいになっても
また たちばなけしりょうかんに あそびにきてね。