まりしてん誾千代姫
2010/10/29PHPの小説・エッセイ文庫「文蔵」で、山本兼一先生の新連載「まりしてん誾千代姫」がはじまりました。
誾千代といえば、立花家初代・戸次道雪の息女で、わずか7歳で立花城の城督となった人物です。
立花宗茂はこの誾千代の婿養子となって、立花家の家督を継ぎました。
誾千代を主人公とした小説となると、最も気になるのは宗茂との仲がどのように描かれているかですが、この小説では二人の関係について、一般に流布している通説とはまったく違った解釈がとられています。
宗茂と誾千代と言えば、二人は不仲であったというのがこれまでの通説でした。しかし、本当にそうだったのでしょうか?
実は誾千代に関する資料は、まったくと言ってよいほど残っておらず、実際に誾千代がどのような女性であったのか、また、宗茂との関係がどのようなものであったのか、確実に分かる資料はないのです。
小説「まりしてん誾千代姫」では、宗茂と誾千代は非常に仲むつまじい夫婦であったということが、冒頭から語られています。
誾千代は晩年、宗茂と別居していたという事実があり、これが不仲説の根拠となっているものと思われます。
その一方で、誾千代が非常に愛情深い女性であり、宗茂のことを思いやっていたという言い伝えも伝わっているのです。
二人は不仲であったのか、それとも二人の別居には何か別の理由があったのか、本当のところはだれにも分かりません。
いずれにしても、従来の小説とは全く異なる方向からアプローチされている山本先生の「まりしてん誾千代姫」。物語はまだ序盤であり、これからどのように展開していくのか分かりませんが、続きがとても楽しみです。