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立花宗茂vs北原白秋 福岡柳川のレジェンドはどっち?

2025/9/2

実は、ほんの10年ほど前まで、初代柳川藩主・立花宗茂の知名度は、今ほど高くありませんでした。


柳川のレジェンドといえば、柳川市出身の“詩聖”北原白秋[1885–1942]。

毎年、1月25日の《白秋生誕祭》では、白秋の母校の小学生たちが白秋の童謡を演奏しながらパレードし、 行灯が浮かぶ掘割を舟で進む幻想的な《白秋祭水上パレード》 は、白秋の命日11月2日をはさんだ3夜にわたります。

とくに白秋の没後10年から続く《白秋祭水上パレード》では、市民の方々が白秋の童謡や歌曲が演奏したり、郷土芸能を披露したりと堀岸からあたたかく舟を歓迎する様子が郷愁を誘います。舟上の人々は、フィナーレの打上花火を見上げながら白秋を偲ぶのです。 ➡️ 柳川市観光公式サイト『第73回「白秋祭水上パレード」開催について』

写真は柳川市HP›観光特設トップMOVIE・Photo柳川写真館より

観光はもちろん「白秋推し」で、立花家史料館の存在も忘れられがちでした。


西鉄柳川駅を降りると、まず目に入る歓迎看板もご覧の通り。
「歓迎 北原白秋のふるさと水郷柳川」と、白秋先生の独壇場です。



宗茂ファンからの「立花宗茂のライバルは誰?」という質問に、つい「北原白秋」と答えたくなるほど、僻んでいた日々もありました。


しかし、ありがたいことに、立花宗茂の知名度は徐々に高まりつつあります。
ゲームの影響で宗茂の正室・誾千代が先行して有名になったことは否めませんが、小説や漫画も大きな後押しとなりました。

※それぞれの内容の詳細 は『書名』🔗 から ➡️



そして2017年、柳川市の主導で「立花宗茂と誾千代」NHK大河ドラマ招致委員会が発足、招致活動が本格的に始まりました。

パンフレットの配布やグッズ制作、メディアでのPRや講演会など、多彩な取り組みを通して「宗茂と誾千代」の魅力が発信されています。
立花家史料館にいると、こうした地道な積み重ねのおかげで、宗茂の知名度が確実に高まっていることが実感されます。



とはいえ、白秋先生もさるもの。

2015年、北原白秋の詩歌にたびたび詠まれた柳川の水辺の景観が、 近代日本を代表する詩人の詩作の源泉であると評価され、「水郷柳河(すいきょうやながわ)」の名で国の名勝に指定されました。 ➡️ 柳川市HP「水郷柳河」

右2枚の写真は柳川市HP›観光特設トップMOVIE・Photo柳川写真館より

「水郷柳河」をあえて「すいきょう」と読ませ、「柳河」と書くのは、著作のなかで白秋自身が用いた表記を、そのまま踏襲しているからです。



さすが、国民的詩人!

この水郷柳河」🔗 は、近代文学者の創作と地域景観が直結した“文学的風景”として国の名勝に指定された、きわめて稀な事例です。
現在、国の名勝は394件ありますが、文学的評価を主因とするのは、「水郷柳河」と宮沢賢治[1896-1933]の作品の源泉として岩手県内7か所の自然景観が指定された「イーハトーブの風景地」🔗 ぐらいではないでしょうか。



……さすが、 “詩聖”北原白秋!



―そうです!
戦国武将・立花宗茂と、近代詩人・北原白秋。
柳川の2大レジェンドがすべきは、対決ではなく共闘!

宗茂が築いた柳川藩11万石の歴史のもとに白秋が生まれ、そのすべてを抱える柳川の風景が白秋の詩情を育んだのです。
実際に街を歩くだけでも、柳川藩主立花家の歴史と白秋の詩情を、肌で感じることができます。


そして今年、2025年は白秋先生の生誕140年という節目の年。
柳川市でもさまざまな記念イベントが開催されています。
➡️ 柳川市HP「北原白秋生誕140年記念事業

柳川の2大レジェンドを、もっともっとアピールをしていかねば!



……それでも、わたしは北原白秋こそが、立花宗茂の最大のライバルだと思っています。
遠くない将来、西鉄柳川駅前の歓迎看板は「歓迎 十一万石の城下町、北原白秋のふるさと水郷柳川」となっているはず……

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“神速”の勝利に貢献⁉️―足利尊氏の密書(【重文】「大友家文書」)を高精細画像で見る[後半]

2025/8/13

前半では、【重要文化財】「大友家文書」を高精細画像で見る楽しさを、参考文献・参考サイトとともに紹介しました。
高精細画像で見ると、足利尊氏の“密書”「足利高氏(尊氏)書状 」(大友家文書・書簡1-1) の歴史的価値を、より深く実感できる気がします。









ところが、最近話題のTVアニメ『逃げ上手の若君』🔗 を観たことで、足利尊氏の “密書” の“解像度”が思いがけず高まってしまいました。


せっかくなので、わたしの衝撃を皆さまにもオスソワケしたいと思います。



※この先、 物語をまっさらな状態で楽しみたい方はご注意ください。




TVアニメ『逃げ上手の若君』第1話「5月22日 」では、鎌倉幕府が“神速”で滅亡していく様子が描かれます。

その展開の速さに驚愕しました。

「一味さんざん(1333年)鎌倉幕府滅亡」と年号を覚えていましたが、尊氏の挙兵から倒幕までがこんな短期間だったとは……



このスピード感は、アニプレックス チャンネル 🔗 公式サイトでも体感できます。
▶️ 「TVアニメ『逃げ上手の若君』 | 幕間(1333年-1334年)「歴史」

諏訪頼重さんが軽妙に案内してくれるので、助かります。

※ 衝撃的な描写が含まれますので、苦手な方はご注意ください

「TVアニメ『逃げ上手の若君』 | 幕間(1333年-1334年) 「歴史」
アニプレックス チャンネル



え、ちょっと待って。
あの“密書”はいつ出されたんだっけ?

歴史の流れをざっくり整理すると、

元弘元年(1331)
8月 後醍醐天皇[1288-1339] 、倒幕をめざし2度目めの挙兵。「元弘の変」
  ↓
9月 鎌倉幕府、足利高氏(のちの尊氏)[1305-58]らを京都へ派遣、鎮圧。

元弘3年(1333)
閏2月 後醍醐天皇、配流先の隠岐島(現在の島根県)から伯耆(現在の鳥取県)へ脱出、倒幕命令を発する。
  ↓
4月27日 足利高氏、後醍醐天皇からの勅命を受け、京都で挙兵。全国の武士に 討幕の“軍勢催促状” を出す。⇒5月7日 六波羅探題を攻め落とし、京都制圧。

  ↓
5月8日 新田義貞、上野(現在の群馬県)で挙兵、 鎌倉(現在の神奈川県)へ進軍。⇒5月22日 鎌倉幕府14代執権・北条高時ら、菩提寺の東勝寺で自刃



“密書”の日付は──元弘3年(1333)4月29日!
情勢が一気に動く渦中で出された、尊氏の命運を左右しかねない一通です。

そして、2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を1年間見通した私は知っています。
この時代の戦は、誰を味方につけるかで勝敗が決まるのです。

この小さな絹布に込められた、尊氏の思いの重さたるや……
「文字が読みやすくてありがたい」なんて、言ってる場合ではありません。



では、もう一度 「足利高氏(尊氏)書状 」(大友家文書・書簡1-1) を高精細画像で見てみましょう!

00000339が本紙、00000338は包紙です



TVアニメ『逃げ上手の若君』を履修した後に対峙すると、絹の織目の間に残されたヒリヒリした緊迫感までもが見えてきそうです。
歴史は単なる事実の積み重ねではなく、生きている人々の「毎日」の積み重ねなのだと、あらためて反省しました。



高精細画像は、史料の「文字」を「モノ」として見せてくれます。
ドラマやアニメは、「モノ」の背景にある「物語」を鮮やかに描き出してくれます。
どちらのおかげもあって、教科書程度の知識しかない私の“解像度” が高められていくので、日々とても助かっています。


そして近年、多くの史料がデジタルアーカイブとして公開され 、手軽にアクセスできるようになりました。 歴史をより身近に感じられる、ビッグチャンスの到来です。


優秀な研究者の方々の尽力により公開が実現したデジタルアーカイブズ「立花家史料館所蔵史料」を、お気軽にどんどん活用いただけましたら幸いです。

【立花家伝来史料モノガタリ】
立花家伝来史料として大切に伝えられてきた”モノ”たちが、今を生きる私たちに語る歴史を、学芸員と読み解いていきます。
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“神速”の勝利に貢献⁉️―足利尊氏の密書(【重文】「大友家文書」)を高精細画像で見る[前半]

2025/8/3

昨年の2024年9月30日、
所蔵者の立花家史料館と寄託先の柳川市(柳川古文書館)、そして東京大学史料編纂所の三者で連携協定が結ばれ、大友家文書・旧柳川藩主立花家文書(立花家史料館所蔵分)の高精細デジタル画像がWEB公開されました。


公開から10ヵ月──
もう高精細デジタル画像をご覧になりましたか?


高精細であることで、文書の大きさや紙の質感、筆の勢い、そして花押(サイン)の形といった、これまでの活字史料集ではなかなかイメージしにくかった情報も、視覚的にしっかりと受け取ることができます。
ただ文字を“読む”だけでなく、 まるで目の前にあるかのように、史料そのものをまるごと観察できるのです。


では、研究者イチオシの一通で、高精細画像の楽しさを実感してみましょう!

00000339が本紙、00000338は包紙です

おわかりいただけたでしょうか?

本状のサイズは縦10.5㎝×横8.4㎝!
手のひらに収まるほどの小ささです。

高精細画像を拡大すると、薄絹の織目によって文字が歪んでいる様子がはっきりとわかります。
画面越しにも、絹布のリアルな手触りが伝わってくるようです。



墨書されているのは、わずか54文字と花押。
わたしでも読めるほど明瞭な文字で、大変ありがたい。

自伯耆国蒙 勅命候之間/令参候之処遮御同心之由承/候之条為悦候其子細申御/使候畢恐々謹言/四月廿九日 高氏(花押)/大友近江入道殿



この書状は、元弘3年(1333)、隠岐島(現在の島根県)に配流されていた後醍醐天皇が、伯耆(現在の鳥取県)へ脱出して出した倒幕命令を受けて、足利高氏 (のちの尊氏) が各地の武士に挙兵を呼びかけた“軍勢催促状”の一通です。

豊後(現在の大分県)の武将・大友貞宗[?-1334]に宛てた本書状は、すでに活字史料集などで広く知られていました。

大分県教育委員会 編『大分県史料』第26 (第4部 諸家文書補遺 2),大分県教育委員会,1974. 207コマ
国立国会図書館デジタルコレクション 〔 送信サービスで閲覧可能〕



わたし自身も、柳川古文書館の特別展「大友家文書の世界」(2017.10.11~12.6)と、九州国立博物館の特別展「室町将軍- 戦乱と美の足利十五代」🔗 (2019.7.13~9.1)にて、この書状を実見しています。

そのときは、
「小さな絹布に書かれた、珍しい手紙だな」
「尊氏が『高氏』と名乗っていた期間は短そうだから、レアな一通なのかも」
と、ぼんやり眺めていました。

実際、この書状を出した年の8月には、 討幕の功績により後醍醐天皇から諱「尊治」の一字を与えられ、「高氏」は「尊氏」へと改名しています。


また、小さな絹布が用いられた理由としては、使者に隠し持たせて密かに運ばせるためだったと考えられています。

このとき高氏が出した”軍勢催促状” は、畿内近国の武士に宛てた4月27日付のものも13通ほど確認されているようです。
しかし、小さな絹布の “軍勢催促状” は、関門海峡を越えた先 ―― 豊後の大友貞宗、肥後の阿蘇惟時[?-1353] 、薩摩の島津貞久[1269-1363] に宛てた4月29日付の3点しか確認されていません。
さらに注目すべきは、この3点のうち「遮御同心之由(先立って同心のこと)」つまり「いち早く味方になった」と明記されるのは、大友貞宗宛だけなのです。

相田二郎 著『日本の古文書』上,岩波書店,1949.  
国立国会図書館デジタルコレクション 〔 送信サービスで閲覧可能〕
👉モノクロ画像ですが小絹布の “軍勢催促状”3点を見比べたい方▶️ 292コマ

👉島津貞久宛 “軍勢催促状” ▶️ 【国宝】「島津家文書」4枚目の画像/文化遺産オンライン
👉 4月27日付 “軍勢催促状”の一例▶️ 「足利尊氏(右筆)軍勢催促状」 慶應義塾(センチュリー赤尾コレクション)所蔵/Keio Object Hub


わたしは近世美術史を専門とし、中世史は教科書で学んだ程度なので、
へぇ、立花家史料館はこんな貴重な書状を所蔵していたのか……と、しみじみ満足して終わっていました。



なぜ立花家史料館が、【重要文化財】「大友家文書」を所蔵しているのでしょうか?

「大友家文書」は、豊臣秀吉により改易された大友家22代・義統が23代・義乗に譲ったあと、時期と理由はわかりませんが、 遅くとも延宝7年(1679)までには柳川藩主立花家の所有となっているようです。そのまま立花家に伝来し、そのうち290通が平成5年(1993)に国の重要文化財に指定されています。

◆販売中◆解説本『大友と立花、歴史の絆ー九州の名門が紡ぐ戦国史 』500円(税込/送料別)名門武家であった大友家と、近世大名家としてその歴史を受け継いだ立花家。両家の関係を【重要文化財】「大友家文書」「立花家文書」や、大分県立先哲史料館所蔵文書から紐解く。 「雷切丸」「【国宝】短刀 銘吉光」の話も! ◎ A5判カラー40頁






ところが、最近話題のTVアニメ『逃げ上手の若君』 🔗 を観たことで、「足利高氏(尊氏)書状 」(大友家文書・書簡1-1) の“解像度”が思いがけず高まってしまいました。

せっかくなので、わたしの衝撃を皆さまにもオスソワケしたいと思います。





 

こちらの【重文】「大友家文書」も高精細画像で実感してください

優秀な研究者の方々の尽力により公開が実現したデジタルアーカイブズ「立花家史料館所蔵史料」を、お気軽にどんどん活用いただけましたら幸いです。

参考文献
「特別展『大友家文書の世界』展示解説シート」 2017.10月 柳川古文書館、九州国立博物館 編集『室町将軍-戦乱と美の足利十五代-』2019.7.13 西日本新聞社・TVQ九州放送・テレビ西日本

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北原白秋が詠んだ”殿の紋”-柳川藩主立花家の「祇園守紋」

2025/7/23

柳川が育んだ“詩聖” 北原白秋(1885–1942)の数多の作品のうち、わたしのお気に入りはこの一首です。


祇園守

殿の紋
祇園守を
水草の何の花かと
われら夢みき

北原白秋・田中善徳『水の構図 水郷柳河写真集』より



『水の構図』は、北原白秋の詩や短歌に、彼の門下生であった 田中善徳の写真を組み合わせた、当時としてはめずらしく先駆的な「写真詩集」です。
白秋の没後、昭和18年(1943)に刊行されました。






巻頭の「遺書にも似たはしがき」は、「水郷柳河こそは、我が生れの里である。この水の柳河こそは、我が詩歌の母体である。この水の構図この地相にして、はじめて我が体は生じ、我が風は成った。」という一節から始まります。

北原白秋 著 ほか『水の構図 : 水郷柳河写真集』,アルス,昭和18.
国立国会図書館デジタルコレクションで公開され、インターネットから誰でも閲覧・PDFダウンロードできます。



詠まれている「殿の紋 祇園守」とは、柳川藩主立花家の御定紋「祇園守紋 ギオンマモリモン」のことです。



立花家史料館では、柳川藩主立花家に伝来した美術工芸品を展示しています。
つまり、館内のあちこちで、立花家の家紋として正式に定められた「祇園守紋」を見つけることができるのです。

目にするたびに「まさに言い得て妙」と、“詩聖”北原白秋の秀逸な抒情に感服してしまいます。
水郷柳川のお殿様の家紋を“水草”に喩えるなんて……まさにロマンティック!



現在も立花家で受け継がれている御定紋「祇園守紋」の由来や、歴代藩主との関わりについては、当館館長が動画で詳しく解説しています。
立花家史料館あげての渾身の作ですので、ぜひご覧ください。

近世大名立花家の御定紋・祇園守紋
【立花家の家紋】後編

➡️ 【立花家の家紋】前編 「立花家のルーツを示す杏葉紋」



柳川藩主立花家の家紋は変化に富んでいて、その多彩さは他家に類をみません。
せっかくの魅力あるバリエーションを活かして、立花家の家紋の缶バッジを作ってしまいました。

「立花家の家紋缶バッジ【全11種】」 は ⬇️ で購入できます






お気に入りのひとつを選ぶもよし、いくつか揃えて並べるもよし。
柳川を故郷とする白秋に思いをはせながら、お楽しみいただければ幸いです。



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【国宝】「短刀 銘吉光 」刀身大ポスター-立花家史料館オリジナルグッズ

2025/7/21

人気の刀剣ゲームが始まってから、早くも10年。

このゲームが登場する以前とくらべると、 刀剣をテーマにした展覧会は飛躍的に増え、鑑賞のスタイルや楽しみ方も実に多様になりました。
そして何より、刀剣を愛する同好の士が着実に増えている現状を、心から嬉しく思っています。


せっかくのビッグウェーブ、 ありがたく楽しく便乗する10年の日々。
刀剣グッズのバリエーションも本当に豊富になり、個人的な購買欲を満たしつつ、あわよくば館務にも活かせないかと、ひそかに目を光らせてきました。


以前のブログでもふれましたが、 刀剣をモチーフにしたグッズは、その姿形ゆえに、どうしても制作の難易度が高くなります。

可能な限り、刀剣本来の美しさをグッズでも表現したいところですが、これまでに購入してきたグッズ類を見ても、あの細長い姿をうまく“魅せる”ために御苦労されている様子が伝わってきます。

刀剣を”いい感じ”にグッズ化するには、形状による制約は避けられないのです。

雷切丸オーロラキーホルダー」と 「脇指 無銘(雷切丸)」



では、【国宝】「短刀 銘吉光 」なら、どうでしょう?

まず、短刀であるという点で、グッズ化映えするポテンシャルがあります。

スッキリと澄みきった刃文、 まばゆいばかりに輝く地鉄。
そして【国宝】たる所以のひとつ、 制作当初のまま研ぎ減りなく維持しつづけてきた、ムチムチのプロポーション。
まさに刀剣界のフォトジェニック☆スター。



いろいろと考えましたが、最初に作るべきは、ありのままの魅力を過不足なく伝えられる「刀身大ポスター」ではないでしょうか。

【国宝】短刀 銘 吉光 刀身大ポスター 税込300円


学芸員のサガとでも申しましょうか、わたしもついつい刀身大ポスターを買ってしまいます。
刀剣を展示室で見比べるのは難しいですが、刀身大ポスターならこんなふうに、並べて比較もできちゃいます。







「【国宝】短刀 銘 吉光 刀身大ポスター」で、こんなこともできちゃいました。



「【国宝】短刀 銘 吉光 刀身大ポスター」 は、立花家史料館の受付のみでお求めいただけます。

受付で購入される際は、 A4クリアファイルを2枚をご持参いただけますと、折れや汚れを防いで、安全にお持ち帰りいただけます。



九州国立博物館の特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」で「【国宝】短刀 銘 吉光」を鑑賞する前に、当館でポスターをGETして心の準備をしつつ、「脇指 無銘(雷切丸)」を堪能するもよし。
九州国立博物館の特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」で「【国宝】短刀 銘 吉光 のスターぶりに圧倒された後に、当館でポスターをGETして余韻を思い出しつつ、「脇指 無銘(雷切丸)」を堪能するもよし。

どちらのタイミングでも、九州国立博物館の特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」をきっかけに、立花家史料館へもお越しいただけましたら幸いです。


2025夏★
九州国立博物館&立花家史料館を巡るおでかけ、いかがですか♪

九州国立博物館は西鉄太宰府駅から徒歩 🚶 約10分、
立花家史料館は西鉄柳川駅からタクシー 🚕 約10分と、
両館とも西鉄沿線(西鉄太宰府駅 🚋 西鉄柳川駅は乗換ありで約50分)にあります。

名刀に出会って、 歴史にふれて、のんびり電車にゆられる夏のプチトリップ…… 西鉄柳川駅から立花家史料館へはバス(1時間に1本ほど)やお堀めぐりの舟も選べますので、意外に気軽にめぐれるはず …… です。


ささやかなオマケと共にお待ちしています。

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立花宗茂FACE手ぬぐい-立花家史料館オリジナルグッズ

2025/7/18

立花宗茂FACE手ぬぐい

その名のとおり、立花家史料館が所蔵する肖像画をもとに、大胆にデザインされた柳川藩初代藩主・立花宗茂の“顔”をあらわした“手ぬぐい”です。

「【宗茂の顔】手ぬぐい」 ⬇️ で購入できます








デザインのもととなった肖像画の話はコチラ。



この手ぬぐいは、株式会社ナカニ(大阪府堺市)の「手ぬぐい専門店にじゆら」にて、職人が手で染める「注染」という技法で染め上げられました。


「注染 チュウセン」は、明治時代の大阪で生まれた染色技法です。
型紙で柄の部分を防染し、染料を上から注いで染めることで、布の両面が均等に染まります。
柄が鮮やかで色褪せしにくい点が特長で、グラデーションやぼかし、深みのある色合いが美しく表現できるため、昔から手ぬぐいや浴衣などによく使われてきました。



……私のにわか知識であれこれ語るよりも、「手ぬぐい専門店 にじゆら」の公式ホームページをご覧いただくのが早いかもしれません。



注染の工程は、動画でも紹介されています。

「注染手ぬぐい にじゆら~cinematic movie~」
YouTubeチャンネル「注染手ぬぐいにじゆら」




注染で染められた手ぬぐいは風合いがとてもよく、洗うたびに色合いは柔らかさを増し、肌触りもよくなります。



例えば、キッチンの小窓のカーテンに。
やさしい透け感が、お部屋を明るくおしゃれに演出してくれます。

実際の活用例




あなたの暮らしに、宗茂の“もみあげ” を‼️



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「雷切丸」をお手元に-立花家史料館オリジナルグッズ

2025/7/5

立花家史料館では現在、「脇指 無銘(雷切丸)」を展示しています。

「脇指 無銘(雷切丸)」 は、その名のとおり戸次道雪が雷を切った刀として、柳川藩主立花家に伝来しました。



気がつけば「雷切丸」は、私たちも驚くほど多くの方にその名を知られ、実際にその姿を見たいと望まれる存在となっていました。
近年はとくに、立花家の宝刀としての輝きが、いっそう際立ってきているように感じます。


そうだ!皆さまのお手元で可愛がっていただける憑代を作ろう!



刀剣をモチーフにしたグッズは、その姿かたちゆえに製作の難易度がどうしても高くなります。
できるだけ実物に寄せた形状にしたいところですが、 他館の例を拝見しても、あの細長い姿を魅せるのに大変ご苦労されているのが伝わってきます。


幸いなことに、「雷切丸」は地鉄や刃文の繊細さよりも、姿そのものの美しさが抜群。シルエットだけでも十分に魅力が伝わると信じます。

実際、無銘になるまで摺り上げられているので、制作当初よりかなり短くなっているはずですが、今の姿もシュッとしていて、何といっても持ちやすい!
何もかもがちょうどよく、手にしっくり馴染む感じがするのです。
(あくまでわたし個人の感想です)



とはいえ、小さな史料館がオリジナルグッズを作るには、さまざまな高いハードルが立ちはだかります。
熟慮を重ねた末に、オーロラのように光の角度で表情を替えながら輝く、アクリル製のキーホルダーが完成しました。

当館の微力では、刀のシルエットを輝かせることはかないませんでしたが、
背景のキラキラに「雷切丸」本刀の煌めきを重ねていただけましたら幸いです。


「 雷切丸オーロラキーホルダー 」 は ⬇️ で購入できます




雷切丸オーロラキーホルダー ¥900 税込





雷切丸オーロラキーホルダー ¥900 税込

立花家に伝来する「脇指 無銘 雷切丸」の姿をデザインした、オーロラのように光の色を替えながら桃色、紫、青と輝くアクリルキーホルダーです。
サイズ(アクリル部分)w33㎜×H66㎜
※スタンドは付属しません









立花家御刀印「雷切丸」
¥300 税込

「脇指 無銘 雷切丸」の御刀印もあります。

立花家御刀印「雷切丸」 ¥300 税込

背景は、最後の柳川藩主藩主正室・純姫所用の打掛にあらわされた、稲妻の文様をとりいれてます。  サイズ A6判











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2025夏★柳川藩主立花家の宝刀を見るとささやかなオマケもらえます♪

2025/7/4

現在、 立花家史料館では、「脇指 無銘(雷切丸)」を展示しています。

そして、

九州国立博物館の特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」 に、立花家史料館蔵の【国宝】「短刀 銘 吉光」 を出品中です。


実は、
九州国立博物館は西鉄太宰府駅から徒歩 🚶 約10分、
立花家史料館は西鉄柳川駅からタクシー 🚕 約10分と、
両館とも西鉄沿線(西鉄太宰府駅 🚋 西鉄柳川駅は乗換ありで約50分)にあります。

せっかくならどちらの刀剣もご覧いただきたい…ということで、ささやかなキャンペーンを考えました。



雷切丸の展示期間中、立花家史料館にご入館いただき、下記のいずれかに該当される方に、 ✨ポストカード「雷切丸」「吉光」ペアセット✨を贈呈いたします。

立花家史料館オリジナルポストカード

🎁 対象となる方:
「九州の国宝 きゅーはくのたから」展のチケット半券をお持ちの方
「九州の国宝 きゅーはくのたから」展へ行かれるご予定があり、
   当館のLINE公式アカウントをお友達登録してくださった方

立花家史料館の受付スタッフに、対象である旨をお知らせください。
📌 当日の混雑状況により、少々お待ちいただく場合もございます。



「脇指 無銘(雷切丸)」も 【国宝】「短刀 銘 吉光」 も、どちらも柳川藩主立花家で大切に伝えられてきた宝刀です。

「脇指 無銘(雷切丸)」 は、その名のとおり戸次道雪が雷を切った刀として、柳川藩主立花家に伝来しました。



【国宝】「短刀 銘 吉光」は、立花山城を築いた立花貞載が武勲の褒賞として、建武3年(1336)に初代室町幕府将軍・足利尊氏より拝領したという逸話が残されています。
天正9年(1581)頃には、大友宗麟の意を受けて大友一族の名門・立花氏の名跡を継いだ戸次道雪に授けられ、立花家に伝来しました。



柳川藩主立花家の宝刀2口をじっくり堪能した上で、 さらに “オマケ”もゲットできるチャンスです✨

2025夏★
九州国立博物館&立花家史料館を巡るおでかけ、いかがですか♪

名刀に出会って、 歴史にふれて、のんびり電車にゆられる夏のプチトリップ…… 西鉄柳川駅から立花家史料館へはバス(1時間に1本ほど)やお堀めぐりの舟も選べますので、意外に気軽にめぐれるはず …… です。


ささやかなオマケと共にお待ちしています。

【ココまで知ればサラに面白い】
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立花宗茂の甲冑を、表も裏も細部まで知りたいときは?

2025/6/5

現存する立花宗茂の甲冑は「 鉄皺革包月輪文最上胴具足」と「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」の2領

どちらも立花家史料館が所蔵しています。



この2領について、表も裏も細部まで知りたい方にオススメするのが ⇒

立花家史料館オンラインLIVEツアー
第1回【立花宗茂の甲冑大解剖】 伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足

立花家史料館オンラインLIVEツアー
第2回 【立花宗茂の甲冑大解剖Ⅱ】鉄皺革包月輪文最上胴具足



しかし、第1回 2023年1月27日・第2回 2023年6月2日 の配信後は、ご覧いただける機会がありませんでした。



2025年6月22日までの期間限定!
立花家史料館オンラインLIVEツアー過去9回分のアーカイブを視聴できる(視聴期間~2025年8月31日)チャンス到来!

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アーカイブ映像は、配信映像に適宜解説字幕とインサート映像が追加されていますので、配信時より分かりやすくなっています。



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こちらも第10回記念特典として、 過去9回+今回分=全10回分のアーカイブ視聴リンクが付いてきます。

これまで見逃してしまった方も、
もう一度見たいという方も、この機会にぜひご覧ください!!








では、第1回・第2回【立花宗茂の甲冑大解剖】をプレイバック

まずは予習がわりにコチラ ⇒




2023年1月27日は1時間、第2回 2023年6月2日は2時間弱の配信でしたが、どちらも当館の植野館長が、 表も裏も、微に入り細に入り、 解説しています。
ここまで丁寧に観察したり説明されたりする機会は、 学芸員でさえ滅多に経験することはありません。

私事ですが、立花家史料館の学芸員という立場にあって良かったなぁと、配信を見ながらしみじみ思いました。とてもとても勉強になりました。



2冊合わせて全40ページをフルに使い、宗茂の甲冑2領だけを徹底解説するB6判オールカラーの冊子は、 オンラインツアーがなければ、当館でも制作には踏み切れなかったほどの濃い内容となっています。

だからこそ、この2冊を一読するだけでも、甲冑への観察眼が磨かれ、他の博物館で見る他の武将の甲冑がより一層面白く感じられるようになっているはずです。

もちろん、さらにオンラインLIVEツアーのアーカイブを見れば、 甲冑鑑賞がもっと楽しく、もっともっと深いものになるでしょう。



今回の販売は、第10回開催記念の特別な企画ですので、次回は……
ぜひこの機会をお見逃しなきよう、心よりお願い申し上げます。

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立花宗茂の遺愛の備前刀って?

2025/6/2

「立花宗茂の遺愛の備前刀」について知りたい方にオススメしたいのが ⇒

立花家史料館オンラインLIVEツアー
第8回【立花宗茂遺愛の刀剣と備前刀の魅力】

しかし、 2024年11月30日の配信後は、ご覧いただける機会がありませんでした。

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立花家史料館オンラインLIVEツアー過去9回分のアーカイブを視聴できる(視聴期間~2025年8月31日)チャンス到来!

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アーカイブ映像は、配信映像に適宜解説字幕とインサート映像が追加されていますので、配信時より分かりやすくなっています。



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これまで見逃してしまった方も、
もう一度見たいという方も、この機会にぜひご覧ください!!








では、第8回【立花宗茂遺愛の刀剣と備前刀の魅力】をプレイバック

まずは予習がわりにコチラ ⇒


名物「波游兼光 」よりも「 兼光 無銘 2尺4寸5分 御刀 」 こそが立花家の重宝だという話



コチラの動画内では 「剣 銘長光」【重文】に肉薄して鑑賞することができます。

文化財多言語解説動画『重要文化財 剣 銘 長光 』[ 3:54 ] 立花家史料館




2024年11月30日の配信では、望月規史氏(九州国立博物館 主任研究員)と杉原賢治氏(備前長船刀剣博物館 学芸員)というスペシャリストが、当館所蔵の「剣 銘長光」「刀 無銘伝兼光」を中心に、「備前刀」について解説されました。

B6判オールカラー48頁の解説冊子では、当館所蔵の「備前刀」だけではなく、長船派の系譜や備前刀各派の主な作刀地まで紹介されています。

岡山県瀬戸内市にある「備前おさふね刀剣の里 備前長船刀剣博物館」と、福岡県柳川市にある「立花家史料館」との二元中継で配信された、およそ1時間半のオンラインLIVEツアー。
杉原さんが兼光屋敷跡に立って解説されたり、望月さんが「刀 無銘 兼光」 を鞘から抜き出して解説されたり、ライブ感あふれる場面は必見です。






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